禅の言葉にある「日々是好日」・・・「にちにちこれこうじつ」と読みます。意味は、「どのような日でも、良い日、悪い日があるわけではない。 雨の日も風の日も、その時の感情や状態を大いに味わって過ごせば、かけがえのない日になる。自分のあり方で、毎日は新鮮で最高に良い日である。」 ということです。
私たちの日々の仕事には責任と義務がついて回り、人によってはストレスになります。なぜでしょう?束縛を受け、人間が嫌う否定される不安を刺激するからです。しかし、雨の日も風の日も、その時の感情や状態を大いに味わって過ごせば、かけがえのない日になるように、責任と義務と一体となった状態を楽しみながら過ごすのは、日々是好日とまったく同じなのです。
ストレスにも良いストレス、悪いストレスがありますが、それとても良い悪いを決めているのは自分であり、その基準も客観的なものを自分の主観と思い込んでいるに過ぎません。ストレスを楽しめる強さを持ちたいものです。
そのためにも、責任と義務はなにか、その原則に迫ってみましょう。
責任とはなにか
ともすれば数値責任が果たせない、届かないのが常と思われかねないものですが、数値責任を果たせない場合が、現実には少ないのが正常な状態です。 なぜなら果たせる能力が確認されない限り数値目標を達成する一連のプロセスの手続きは始めないからです。能力の確認は起案した実行計画と実行能力によって行われているのが前提なのです。
この前提が実行されていないと数値責任が果たせない問題が起こりますが、前提の実行がないのが当たり前になっている組織が少なくありません。これは経営の根幹を揺るがす組織運営に於ける重大な決定的ミスでしかありません。このようなミスを放置していることが、ありとあらゆる問題を生み出す始まりなのです。そこで責任について改めて認識しておきたいと思います。
- エキスパートが
- 上司から数値目標を予告され
- 自ら実行計画を起案し
- 両者の合意の上に
- 実行を約束して
- その目標を達成する
この場合、能力の確認もせずに委譲した責任を上司が問われることになります。 会社思い、遅刻せず、休まずといった勤務の慣習は美徳であっても理想ではありません。なぜならそれだけで人を幸福にすることはないからです。 数値目標が達成されるということあってこそ、会社思い、遅刻せず、休まずは、美徳になり得るのです。
- 責任は命令・指示を出した上司に対して負います
- 責任は命令された部分(職務)についてのみ負います
- 責任は常に個人が負います
- 職務が果たせないときには、必ず不利益な取り扱いを受けます
- 職務が果たされなかったとき、トップマネジメント(取締役)は機会を損失の責任を負います
- 経営管理者は他社で出来ていて、自社で出来ていないためにミスが発生した場合は責任を負います
- 責任を負うのは決定者であって、起案者、実行者は責任を負わない
- 命令や規程の結果が悪い時は、決定者・命令者または修正担当者が責任を負います
- 代行者及び委譲権限行為は、与えた者が責任を負います
- りん議と提案とは、承認者と許可者とが責任を負います
- 会議事項は参加者中の上位者が責任を負います
- トップ決定によるものは、起案者が責任を負います
義務とはなにか
- 命令によって実行が要求された行為を、その通りやりとげること
- 全従業員は身分や階層に関係なく義務を負っている
- その根拠は労働契約に基づいており、エキスパートが育成されているかどうかとは関係がない
義務を果たすための5つの条件
- 命令を正確に理解すること(確実な聞き取り、読み取りができ、忘れないでいる能力が必要です。)
- 命令が明白に表現されること
- 本人に命令が実行できるだけの能力があること
- 事前に不足する能力の発見と、充足する教育が実行されていること
- 評価が行われていることが必要
- 義務を果たせない人は、上記の5つの条件の内、どれかが欠けています
- 5つの条件の内、4つの条件は上司側に原因があります
- エキスパートの負う責任は「義務」プラス「他」です。
義務を果たせない場合、どうするのか
- どのような作業が出来なかったのか できなかった原因として、本人にどんな過失または怠慢があったのかを確認する
- どうすべきだったのか
- 同じミスを起こさないように、今後どの部分をどう変えるべきかを対策する
- 反省(上司の誘導で、本人に確認させることが「反省」)
- 義務違反の場合は上司側または本人側の反省は不可欠 権限の委譲
- 権限の委譲は特定の職務に対して発生するもので、 一般の義務は職位に付帯して発生しているものです
- 委譲されるのは、部下にすれば自分のスキルが向上した証明です
- トレーニングの時期は権限委譲の質と量を獲得するチャンスです
- 権限を委譲された場合は、委譲された範囲の権限に伴う責任を果たす義務があります
- 権限を委譲された場合には、委譲者に対して行動の都度の報告が義務となります 責任の所在について トップ、管理者、起案者、命令・指示した上司、実行者、代行者など責任を引き受ける立場のひとが多数存在しますが、その責任の所在は、状況によって変わります。 その事例を次のリストアップします。
決めたことは責任をとる
マートワンでは、ライフスキルを身につけ、幸福な個人生活を営み、共同体に貢献できるスキルを身につけるために、「決めたことは責任をとる」など7つのゴールデンルールを提唱しています。
- 自分と周囲の人を尊重し励ます コミュニケーションスキル (効果的コミュニケーション ・対人関係)
- プロセスに注目する 自己肯定スキル(自己認識・共感性)
- 決めたことは責任をとる
- できるまでやる
- いまこの瞬間に集中する 意志決定スキル(意志決定・問題解決)
- 理想と現実の差をうめる目標を選ぶ 目標設定スキル(創造的思考・批判的思考)
- 感情的な行動をしない ストレスマネジメントスキル (感情対処・ストレス対処)
「決めたことは責任をとる」というと、辞任、切腹のイメージを持つ方がいますが、世界中でそれほど軟弱な責任の取り方をするのは日本ぐらいでしょう。 ルース・ベネディクトの『菊と刀』でも取り上げられていたように、日本は罪の意識が弱く、恥の意識が強いのかも知れません。
チームワークを成立させるには、また迷惑をかける点を考慮すれば、恥というより、罪と受けとめて、責任を果たせるように努力するのが妥当です。 責任を果たせるスキルを身につけることも含めて全知全能で責任を果たそうとする行為が決めたことは責任をとると解釈しています。
「日々是好日」・・・「どのような日でも、良い日、悪い日があるわけではない。 雨の日も風の日も、その時の感情や状態を大いに味わって過ごせば、かけがえのない日になる。自分のあり方で、毎日は新鮮で最高に良い日である 忘れないようにアサーティブに責任と義務を引き受けるようにしたいものです。
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