2013年1月30日水曜日

マンパワーの生涯設計



教育主義と法人中心主義に徹するのが、チェーンストア志向企業だけの特色です。教育主義の代表事例が40歳前後を人生の区切りとしたマンパワーの生涯設計なのです。

マンパワーの生涯設計とは、40歳前後を人生の区切りにして、それまでを準備期として、40歳前後で技術のあるスペシャリストとなり、後半の20年間、つまり60歳まではその技術で世の中に尽くし、生きがいとやりがいと、それ相当の報酬と社会的地位をもっという構想です。

言い換えれば、高校を出て職場生活に入ると18歳、大学卒なら22歳。つまり、20歳前後までは肉体と基礎的理解力を学ぶ準備期間になります。そのあと約20年間のビジネススキルの教育期聞を経て、ようやく一人前のビジネス技術者になります。この20年間は、大別して二つに分かれ、前半の20歳代で現場作業をマスターする。基本理論も学びますが、それは理屈としてではなくて、理論と体験の融合したものを心身を使い動かしながら習得するのです。つまり実務を科学的論理と数字として理解するわけです。

会社によりますが、この時期マスターすべき現場作業は、一般に約200種類程度はあるものです。そうすると普通の人なら一年間に正しくマスターできる範囲は、せいぜい25種類程度なので200種類なら8年間かかる勘定、優秀な人でも6年間かかります。すると、新卒として入社してからの8年間ほどは、その人の人生にとって大切な研修期間にあたるのです。つまり20歳代をどこで何をして修業して過ごしたかが、一生の問題として注目され続ける結果になります。その人を語る上で欠かせない履歴書になるのです。

この貴重な期間を体系化することもなく、ダラダラと指示と言う名の依存を上司から受けて育つことを教育と呼んでいる会社もありますが、このような環境で育った者は当たり前のことながら、雑学を知識として体験を重ねるばかりなので、社会的にチグハグな素質、教養、知識、経験、リーダーシップ、意欲を身につけてしまい、生涯設計と呼ぶにはあまりにお粗末なスキルにしてしまう危険があるのです。この危険は起業した場合にも起こりえます。

このような危険を未然に防ぐために、マンパワーの生涯設計が重要です。現実には人手不足で、それどころでないという環境もありますが、これが事実前提の経営の危険なのです。つまり事実前提の経営に終始するために、スペシャリスト不足から生じる 人手不足が止まらなくなり負のスパイラルが続いてしまうのです。


転勤することも少なく現場経験が乏しいまま、実力もないまま管理職になり、作業を知らないで部下を多数かかえてしまうと、その後の一生が台なしになってしまうのです。これは、チェーン化の準備段階にある会社では、しばしば起こっていることで、会社側のご都合主義によるものだ。結局は教育システムと組織計画の失敗であって、「出世が早くてよい」ことと受けとめるようでは、とんでもないことなのです。



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