日本を省みて成熟社会とか、飽食の時代とか呼ばれることが多いものです。
しかし果たしてそうでしょうか。それは諸外国を歩いてみると分かるように、とんでもない錯覚ではないでしょうか。日本人の大衆の暮らし、日常生活は、調和のない生活であってまことにみじめでである。ここの原点に立たないから国際競争力で負けて行くのです。
ようやくユニクロのような会社が出て来て席巻するものの、まだまだ消費財、とくに日常品は製造コストを積み上げ、かけ値幅の大きいモデレートプライスの中級品主体が目立ちます。
用途も多目的・多用途の見せかけの品がほとんど。使う側からすれば、調和のない生活しかできないようになっています。
たとえば消費者の衣食住は、それぞれかよそいき中心に飼いならされた、まだまだ変わっていないお客さま向けに関心が集中。無印商品などがこの分野に切り込んでいるものの、全体には使い心地の点で顧みられていなくて、コストパフォーマンスという点で果たしてどうでしょう。
生活のさいに大部分の時間を占める最も頻度の多い日常の暮らしという目的のための商品、とくに、一点豪華で夢を追うライフ・スタイルが一般的で、このために崩れかけた状態とはいえど、世界でも稀有な高級品・趣味品中心で、商品の大部分は多目的・多用途兼用、それだけに価格が高く使い捨てもできない。
衣も住も食も、およそコーディネーションが無視され、材料製造業の国産素材の生産対策の延長上に日本的な価値が販促され、世界の傾向とは食い違いつづけています。しかも、ホット・ファッションは以前としてというより、ますます高価です。
アメリカの衣食住の大型店の行くと一見「アメリカのお店の品揃えは貧弱だ」と見えますが、そうでしょうか。その背景にはチェーンストア産業が一世紀以上も積み上げてきた、暮らしの豊かさが実現されています。つまり
- 用途ごとに
- 同時に使うときに必要な品種は、すべてそこにそろっており、
- 品質(機能)は、使う側にとって便利で楽しいことに限定し、
- 大部分の人々が
- 手ごろに買えて、
- 安心して、
- 気軽に、
- 楽しく、快く、使いわけられ、
- 全国どこでも、
- 日常的に
が実現されているのです。このキーワードが味わえる条件の実現こそが現代における「豊かさ」なのです。恐らく誰もが追求している、実現していると思っていますが、実際には、日本ではまだまだ実現できていないのは、作る立場・売る立場で尺度がいつも生産者によって一方的に決められてきたからに他ならないからです。その上、日本ではアメリカでは重視していない商品部門数、品目数が多いこと、つまり「よろず屋」が自慢なのです。ガラパゴスと言われた携帯電話市場を見てもこの体質は相変わらずだと分かります。
日本の市場(行政も含めて)にあふれている商品群、サービス(公的なサービスも含めて)は、いろいろあるように見えても、いざ使うとなったら互いにコーディネートしないで、使いものにならないことが多いのです。
このキーワードでそれぞれが自分の仕事に照らし合わせると ユニクロや無印良品の成功はヒントをくれるはずです。まだまだチャンスがあることを暗示しているのです。
だから、私たちは日本人の暮らしについて革命を起こしたいと願う。それは日本国民にとってまだかなえられていない生活のニーズなのです。
しかももっと悪いことに、日本人は暮らしがみじめで貧しいのに、逆に豊かになったと錯覚さえしている点です。
この点では国民のWANTさえも否定しなければならないのす。
アメリカでいうマーケティングは、WANTを乗り越え、NEEDまでも問題にするのに、日本でいわれるマーケティングはWANTしか対象にしていない。いや、現実はその大衆のWANTすらも、生産者側のWANTの軌道上でしか実現しようとはしていないのが現状なのです。だからロボ掃除機 のように技術はあっても開発できないのです。
しかもマーケティングの定義もバラバラ。巷では「市場調査のことだ」「テレビや新聞、雑誌などで商品やサービスを宣伝することだ」など、マーケティングに関して実に様々な印象が持たれています。「目の前にお客様を連れてくること」というのもあれば、「売上と対価を得ること」、「儲け続ける仕組みを作ること」もあります。
日本マーケティング協会によれば「 マーケティングとは 、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である」と定義しています。
このような定義を触れると「マーケティングってやっぱり難しいな……」と感じる方もいるかもしれませんが、実際にはマーケティングの本質は非常にシンプルです。
マーケティングとは「人々の暮らしを豊かなにする仕組みを作ることで対価を得る」ことなのです。つまり先の10の条件を達成することです。
そしてマーケティングへの無自覚、間違った常識を否定することが、流通革命の出発点なのです。
その実現のために必要条件は
- ビッグチェーンづくりによる資産と人材の育成
- 標準化された多店化づくり
- 同志企業が数100社にふえる
それは、長い険しい革命への道程であることは間違いがないのです。しかし今日起業した若者であっても、どこに向かうかといえば、やはり人々の暮らしを豊かなにする仕組みを作ることで対価を得ることなのです。それには理念だけではなく先の10の条件を達成することです。
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