2012年9月26日水曜日

無心/WIN-WINな関係を実現する



アサーション権の理解が役に立つ最大の理由は自分も相手も傷つけないコミュニケーションをするためです。よりポジティブな表現をすると、WIN-WINな関係を実現することです。
WIN-WINと言葉するのは簡単ですが、中国や韓国との領土問題を例にとっても、なかなか難しく、それぞれの主張を相手に押し付けているばかりでは、うまくいきません。

お客様との関係でも敵対的になることがあるのが現実です。どうしても自分の欲求や所属する集団の欲求に注目してしまうためで、うまくいくはずの商談でもまとまらなくなります。
WIN-WINはテクニックでなく、在り方ですので、本当にWIN-WINをめざす気持ちがないと意識もできないものです。ともすれば私たちは日頃から気にかけている家族との関係ですら、WIN-WINから離脱する傾向にあるので、注意が必要です。
禅に「無心」という言葉があります。自分の内にある一切のはかりごとを捨て、ひたすら祈る。そうすると自然に傾聴できて、周囲の人の心に自分の心が入っていけるようになります。障害物がなくなるからです。無心になれないとどうなるか、事例で考えてみましょう。
たとえば・・・・・
出かけていった子供が帰ってこない。親は心配する。いろいろ想像する。心配した挙げ句、知り合いに電話して確認する。緊張と疲労がピークになろうとした矢先に帰宅する。顔を見ると安心して抑えつけていた不安が怒りに変わります。

子供を罵倒する。いま何時だと思っているのだ。連絡くらいしろ、なにをしていたんだ。バカヤロー、帰ってくるな!心にない言葉が出てしまいます。叱られることを理不尽と思った子供は反撃する。誰がこんな家に帰ってくるものか。
相手の感情に注目せずに、つい自分の感情に注目して 互いに気持ちとは裏腹な言葉が飛び出し、とるべき行動を忘れる。本当は安心して抱きしめたい気持が反対の言動になっている。

コミュニケーションのまずさから不要な不安を引き起こしたその結末が、コミュニケーションの断絶によって、感情の表現と適切な行動が打ち切られる。残されたのは「感情的な行動」という混沌とした行動です。
たとえば・・・・・
幼いこどもと母親。お父さんを迎えに行った場所に、お父さんはいない。待ったけれど来ない。こどもは不安と寂しさから泣き出す。
「うるさいわね。すぐに来るから泣かないの」と言えば、子供はさらに泣きます。自分の気持ちを判ってもらえない悔しさから、今度は母親に向かって泣いている。

この瞬間、母親の取る態度によって、こどもは救われます。その事例。
別の母親は「悲しいのね。大丈夫よ。もうすぐ来るからね。”お父さんがいないから、悲しかったよ”って言ってやろうね。」子供は頷きながら泣き止みます。自分の感情を判ってもらえて安心したからです。
前者の母親は、自分の感情に注目しましたが、後者の母親はこどもの感情に注目しました。その結果、相手の行動も、自分の行動も正反対です。
自分の行動を変えれば結果はまったく違ったものになる。ビジネス・アサーティブがもっとも伝えたいことは、この違いです。

もっと相手の感情に注目してあげるとWin-Winは容易になります。
アサーションとは、ひとことで言うなら、人を大事にすることです。関連した言葉にアサーティブ、アサーティブネスがあり、微妙に意味が違います。それぞれ次のようになります。

【アサーション Assertion】 

   遠い関係のものが近づくようにする活動

【アサーティブ  Assertive】

   自他ともに大事にする表現をする

【アサーティブネス Assertiveness】

   自他ともに大事にされた実感の持てるWIN-WINな関係性
ビジネス・アサーティブの始まりは、コンセプトから。どのようなビジネスでも、共通しているのが人間に対するサービス業だということ。人間に対するサービス業でない仕事はないと言えます。すべての人に夢と感動を与えるものでなければ成功は難しいでしょう。なぜなら成功とは、すべての人に夢と感動を与えた結果でしかないからです。

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