2012年9月17日月曜日

萬法一如/9つのアサーション権〜2.他者と違う自分の価値観を大切にする権利



萬法一如/9つのアサーション権
〜他者と違う自分の価値観を大切にする権利


萬法一如」「ばんぼういちにょ」と読みます。みんなが互いのことを考えて生きるという意味です。ビジネスの世界で説明すると以下のようになります。9つのアサーション権は萬法一如」の基礎となるものです。


前回は9つのアサーション権から、「自分の行動を自分で選択して実行する権利」についてお話しました。今回は「他者と違う自分の価値観を大切にする権利」についてお話します。



    1.自分の行動を自分で選択して実行する権利
 2.他者と違う自分の価値観を大切にする権
    3.(知らない、できない、分からないなど)不完全であってもいい権利
    4.論理的な説明できなくてもいい権利

人はそれぞれに価値観が違います。そしてそれを認めてほしいと願うものです。
それは言い方を変えると人と人に間にある境界の向こう側にいる自分を認めてほしいと言えます。
人と人に間に境界があるから人間関係は特別な輝きを持ちます。境界のこちらと向こう側で頼みもしないのに自分の応援をしてくれたり心配をしてくれる。
人として無上の喜びの瞬間は、私とあなたは違うという境界があるからです。

境界がなければ、私とあなたの区別がなくなります。
たとえば恋愛はその究極と言えます。権力者がいかなる方法を持ってしても境界の向こうにある真摯な恋心は自由になりません。境界は自由の砦とも言えるのです。それだけに良識と良心を磨きたいものです。

しかし、違う価値観の出会いは激突することも少なくありません。残業を求める上司、急いで帰宅したい部下・・・ 職場ではよくある光景ですが、似たシチュエーションであっても、当事者の組み合わせで状況は一変するものです。「価値観の違いです」で、終わるのではなく、 こんな時こそ 、互いの価値観を伝えながら接点を求める作業が大切なのです。伝えたいこと、伝えたい思い、それが互いに違うときに、コミュニケーションの出番です。

私たちは誰も他者の心を理解する能力など持ち合わせていません。本人でさせ判らない魑魅魍魎の世界を話せば判ると考えるのは幻想です。ひとつひとつの単語の解釈もイメージも違う者同士が判り合うなんて至難の技なのです。
でも、だからこそ互いの違いを知り合うようにして、共感、共有できるものを探し合う作業を通じて、理解しあえないのを前提に、それでも尚、理解を求め合い価値観を再編成していくプロセスがコミュニケーションであり、そのプロセスに共鳴するのではないでしようか。もう一度言います。プロセスに共鳴するのではないでしようか。
すばらしい出会いとはそういうことで、結果ではなくプロセスなのです。誰にも他者と違う自分の価値観を大切にする権利、言い換えると他者と違う自分の価値観を大切にする義務があるのです。
相手を理解しようとする熱心な姿勢を知ることから共感が生まれるのです。真摯な態度を知る経験を重ねるほど、価値観の違いを感じることは大きな楽しみになり新たな創造に発展します。

【ビジネスの現場からこんな意見が聴こえてきます。】

「説明しても分からない部下がいる。話をしても通じない。」よく聴くお話です。
こういう場合、まず相手の価値観を認めているかがポイントです。
どちらが先に認めるか・・・ということを気にする方がいるかも知れませんが、対等がルールですから、判っている側から積極的に認めてあげればいいのではないでしょうか。思い込み、決めつけが先にあるとしたら、正論を伝えていても、他者と違う自分の価値観を大切にする権利を認めていないとコミュニケーションは台無しです。むしろ正論であればあるほど相手を傷つけてしまいます。
まず相手の価値観を傾聴し、どこがどう違うのか、その理由はどこにあるのか、ひとつずつ障害を外していく作業が必要です。面倒くさいかも知れませんが、それをしておくと後々が楽なのでかえって時間の節約になります。
販売、営業は、価値観の違いを調整していく仕事といえます。全く違う価値観を持った人に、違う価値観をぶつけていくのですから、価値観が違うでは仕事になりません。
相手のメリットを伝えることなしにコミュニケーションは成り立ちません。ただメリットを伝えるのではなく、心を動かさないとメリットになりません。心が動いたことがメリットなのです。

社内・社外を問わず、心が動かない正論は正論でないと考えて、なにをどう伝えたら心が動くかを念頭にコミュニケーションを進めたいものです。

心を動かすツール、つまりコミュニケーション・スキルでいうツールとは、思考の6段階モデル(ブルーム博士)、PDCA、PPM分析、マーケティング4P、5W1H・・・・をはじめとする世界中で使われ精査されてきた思考ツールです。これらツールについては後ほど説明させていただきますが、 思考ツールを使うスタートが他者と違う自分の価値観を大切にする権利を遵守する心意気ではないでしょうか。



■ ブルーム博士の思考の六段階モデル

知識 … 暗記力(事実、言葉、やり方、分類を知っている)
理解 … 内容を解釈したり、言い換えたり、説明したり、推し量ったりする能力
応用 … 知識を一つの状況から別の状況に移すことができる能力
分析 … 全体の中の部分を見つけたり、区別したりできる能力
統合 … 部分を組み合わせて、統一された全体をつくりだせる能力
評価 … 基準を使って情報の価値や使いみちを判断できる能力
出所:ベンジャミン・ブルーム「教育のねらい分類」

次回は、9つのアサーション権から、「(知らない、できない、分からないなど)不完全であってもいい権利」についてお話します。


 5.自分の意見を主張しない権利
 6.間違いや失敗をする権利とその責任を果たす権利
 7.自分の考えや意見、行動を変更する権利
 8.他者の困難に対して援助の選択を自分で判断する権利
 9.周囲の期待に応えなくて良い権利



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