2012年9月29日土曜日

一心不生/大きな問題は小さな問題のかたまり



「一心不生」・・・「いっしんふしょう」 
禅の言葉で、意味はある人には問題になるが、別の人には問題にならない。ほとんどの問題とはそういうものです。それを分別することなく、受け止め自分にとって、問題として考える。それを「一心不生」といいます。
私たちの仕事の現場はまさしくその典型的な場であり、そして多くの人は問題を共有するより、自分に関係のないことは無関心を装います。その結果個人にしわ寄せがいき頑張っている人、そうでない人が出てきます。
毎朝5時起床、帰宅は12時前。
もし自分の愛する人が毎日12時間以上働いているとしたらどう思いますか?

こんな仕事の仕方はどこか間違っていませんか?
単純に人手不足のせいでしょうか?
あるいは業績が芳しくないからでしょうか?
ただなんとなくそれが習慣のようになっているから?
どうしてそんなことになっているのでしょうか?

電話一本で、平気で休む人がいる一方で、その穴埋めに、多忙を極めたり、時間外労働を引き受ける人がいます。
有給休暇を取る人、取らない人。
同じ職場の同じ規律で働いて、どうしてそんなことがまかり通るのでしょうか?

生産性があがるような方法を教育もせず、訓練もせず、指示もせずにいて、利益が出ないのでと無理強いをする。
休みもとらず、給料もあがらず、ボーナスも少なく。その切なさの原因はなに?
自分が休まず、無理することに慣れていて、部下にもそれが当たり前の顔をする上司がいます。それはヘンなことだけど、上司はとってもいい人。

いつもどうすれば給料をあげられるかを考え、悪くても業界水準並みは払いたい。
それが出来ないのは経営者の恥と考える社長。
一方、 従業員と来たら、給料は自分で稼ぐものとは思うこともない。
予算自体 を甘く考え、単なる数字のゴロあわせですませて、焦点はボケたまま。
それをひたすらガマンして、文句も言わずに気を使う社長。
それってヘンです。

手伝い合うって言えば感じはいいけど、忙しければ、いつでも手伝ってくれるという甘えがはびこっているだけの職場。

実際は責任を考えたこともなく、自分の役割を果たそうともせずに、結局「フリーター、アルバイトだから」の言葉と意識で完結。
働く顔と遊ぶ顔は同一人物と思えないのはどうして?
それを注意したらチームワークが壊れるからって見て見ないふり。
それってヘンでしょう?
ヘンだと思うけど、波風立てるのもイヤだなってガマンする。
それで幸福になれるのかな?

ガマンして、ガマンして、結局、お互い不幸なだけじゃないですか?
どちらかがガマンするのではなく、両方が幸福になれる
【WIN-WIN】な方法ってないと思いますか?

自分の気持ちや考えを、率直に、誠実に表現することを抑えてしまうのはどうして。誰にとっても人生の主人公は自分です。

だれかにとってその他大勢かも知れないけれど、誰だってその他大勢ではない。
自分を大事にするから、同じように周りの人も大事にしてあげる。
具体的に、どうしたらいいのでしょうか?

その基本が「率直な自己表現」・・・つまり対等・率直・自己責任・誠実で構成された自己主張です。

「対等」であること。
「対等」というのは、自分が相手よりも上だとか、相手より下だとか、敵対的な考えにとらわれることなく、同じ立場の人間として向き合うことです。
仕事はチームワークで進めることが多いので 、役割で上下関係が出来たりします。しかしそれと人間であることは別です。役割上命令したり、されたりしても、人としては対等なのです。
対等な扱いをしない人は、自分より弱い人には見下しがち。なにより自分を自分で見下しては自分が可哀想。

「率直」であること。
「率直」とは、遠まわしな表現をしたり、くどくど言いわけしないで、気持ちや自分の意見をシンプルな言葉で表現することです。
自信がなかったり、責任回避をしようとすると、知らず知らずに率直さを欠いた表現になり、結局相手を遠ざけてしまいます。
「自己責任」であること。
「自己責任」とは、自分の行動は自分が選択する、その結果にも自分で責任を持つこと。人の言いなりになったり、人のせいにしないことです。
人に譲る人は、言葉にしないけど、人のせいにしてしまう。
気がついていないけれど、これが自分を疎外する原因になります。

「誠実」であること。
「誠実」とは、自分にも相手にも、正直に向き合うこと。
自分を抑えるのは、正直な自分を隠しているので、心から向き合うことがない。
だから相手はつまらないと感じます。
でも自分を抑えた人は相手のためにしたことと思っています。
だから気持ちがすれ違う。
いくら相手を思って抑えても、それを喜ばれることはありません。
心を向けずに表現するのは正直ではないので報われることはありません。

仕事をしていく上で、もっとも大きな力となるのは、働く意欲です。
働く意欲はもっとも率直な自己表現です。

日頃から自己主張を抑えていると瑞々しい意欲は失われていき、自分を自分で疎外することを促進してしまうのです。
アサーティブ。 つまり対等・率直・自己責任・誠実で構成された自己主張は、チームワークの源であり、チームワークとは自分の役割を果たせる集団のこと。
「一心不生」
大きな問題は小さな問題のかたまりなのです。ひとりひとり、ひとつひとつの小さな問題を放置するから、矛盾が生じてきます。つまりチームワークが機能していないから、最後にはだれの問題か分からない大きな問題になっているのです。
それを解決する糸口は我慢するのではなく、対立するのではなく、ひとりひとりが対等・率直・自己責任・誠実で小さな問題を放置しないことです。そうすると矛盾がなくなっていきます。

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