コーチングは受ける側も施す側も「大地黄金」の典型的な事例で、この考えのないコーチングはコーチングになりません。
コーチングとは、「大切な人を目的地まで送り届ける」というのが本来の意味で、Coach (馬車)から派生した言葉です。
コーチングという言葉はスポーツの分野では昔から使われていましたが、ハーバード大学のマイルス・メイスが著書で使用したことから拡散しました。
「マネジメントの中心は人間であり、人間中心のマネジメントの中でコーチングは重要なスキルである」と使用したのです。
日本のプロ野球と大リーガーでも微妙にコーチの役割が違うように、コーチングの定義はさまざまで、アプローチの方法は違っても、その本分はコーチングする相手の能力とモチベーションを高めて、持てる能力を発揮できるようにサポートするコミュニケーションスキルであることに間違いはありません。
重要なことは、主体はコーチにあるのではなく、サポートを受ける本人にすべての答えがあることです。先に説明したようにファシリテーターが参加メンバーで構成されたチームをサポートするときに、指示したり、教えたりせずに、質問を積み重ねて、相手の考えを引きだして、能力を引き出していく手法に通じています。
さらに重要なポイントは唯一の答えを求めるわけでなく、答えは必ずしも一つではない点です。相手(個人またはチーム)の合意が答えになる点です。
それだけに、在り方、価値観が、全く違う相手を組織の在り方、価値観と違っていれば、ハードなプロセスを辿ることになるので、組織の在り方、さらに価値観を明確にしておかなければ、全くベクトルの合わない相手を育てるはめになります。
ですから現実の問題として、人を育てる前に、組織の在り方、さらに価値観を整えることが、コーチングを機能させる条件になるのです。この基本的な前提条件を無視してしまうと組織は成長しなくなるということです。もちろん、コーチングやファシリテーターを度外視して、旧態依然とした管理方法で成長させることも可能でしょうが、その方法が内包しているリスクはいつか必ず組織のリスクとなって露出してきます。特に未曾有の高齢化社会、結婚を求めず、子育ても求めない価値観の大転換を迎えた現在では、急速に負の循環となるでしょう。
指示命令で人を動かすのではなく、マネジメントの真髄、PDCAを使うことで、相手に主体性を持たせて自主的に考えて行動するように促すのです、つまりどのような組織でも求めている姿を現実にする手法を使うことで、どのようなマネジャーにもアプローチできるのです。PDCAは使えないという人はたくさんいます。その原因は、いくつもありますが、主体性を相手に持たせずに、叱咤激励する道具に使っているからです。
PDCAのP(PLAN)は、計画のことですが、その前提に目標が内包されています。ところが、まだまだ、この意味が理解できていない人がたくさんいることには驚かされるのが現実です。P(プラン)は目標だけの場合もあれば、計画だけの場合もあります。どちらが欠けてもP(プラン)にはなりません。目標数値だけあっても、どのような在り方で、どのような価値観で、どのように行動するのかが明確になっていなければ、動きようがないからです。これでは実行した後に来るCHECK(チエック)ができないので、問題があろうが、なかろうが、やりっぱなしになります。つまり人が成長しないということです。
人が成長しないので、指示命令が必要になりますが、これだけだと、ますます自主性も、自ら考えることもないので、管理者に成長することはありません。しかし組織が成長するには、拡大が不可欠なので、管理者が必要になります。ところが管理者にふさわしい能力を身につけないまま、管理者になるので、組織は機能停止に陥ります。これでは組織は拡大できなくなりますが、指示命令で動かしてきた組織は、その根本的な原因を把握できる能力を欠いています。もともと自主性も、自ら考えることの重要性を軽く見なしていたからです。
DO(実行)の後に来るCHECK(調査・分析)は、目標と現状のギャップ、すなわち問題とその原因を探ります。この作業は次のACTION(行動)を正すために不可欠な重要な条件ですが、P(計画)が曖昧で達成が容易にしないDO(実行)を繰り返しても、そもそものP(計画)が曖昧ということは、その段階であらゆる可能性を引き出すチャンスであるCHECK(調査・分析)も出来ないことを示唆しているので、次のACTION(行動)を正すことができないので、すでに答えはやる前に出ているのです。すでに結果が出ていることを、そのままやるというのは、「やる気がない」以外に解釈の使用がないのです。
このことは人生そのものに通じています。チャンスを引き出すには、チャンスを引き出せる仕組みを自分のなかに準備しましょう。PDCAです。PDCAは自らを大切な人として扱ってもらえるようにする貴重なツールなのです。
0 件のコメント:
コメントを投稿